貴志です。
先日、安藤忠雄氏設計の「日本橋の家」を見学させていただきました。
ご縁があって、この住宅にお住まいだった金森様から直接お誘いいただきました。
大阪はミナミの繁華街にあります間口3m弱、奥行15mという、いわゆる「うなぎの寝床」の敷地に、この建築は建っています。
「住吉の長屋」の敷地を間口をより細く、奥行をより長くした敷地で、1階に店舗、2階から4階が住居となっています。
2階から4階まで通じる吹き抜け、3階・4階の個室の間に設けられた2層分の中庭(「住吉の長屋」と同様に、個室間の移動は一度外部に出なければいけません。)がこの住宅の特徴的な部分です。
安藤氏はクライアントに対し、「闘って住む」ようにとおっしゃられたそうですが、その言葉通り、コンクリート打ち放しの建築は住環境としては厳しいものであったかもしれません。
ただ、道路に面した3層吹き抜けのガラス面や3・4階の中庭から室内へ入る光、コンクリートの壁面にそれがつくりだす陰影など、それを補って余りある日々の感動がこの建築に長年住んでこられた理由のような気がいたしました。
そして、何より安藤氏が設計されたこの建築に対するクライアントの愛情を強く感じました。
金森様、大変貴重な機会を設けていただき、有難うございました。
余談ですが、後日、お電話でお話しさせていただいたところ、金森様も高校時代にラグビーをプレーされていたそうで、ワールドカップの話題で盛り上がったのでした。
ラグビーをプレーしていたという共通点がもたらす仲間意識、親近感は、初対面でも距離をぐっと縮める不思議な力がありますので、社会に出てからその恩恵を感じることが多いです。
貴志 泰正