カテゴリー別アーカイブ: 建築家 貴志雅樹

モダニズム・ノート(1)

モダニズム建築を生み出した、イデオロギー的バックボーンは、何であったのか。

あるいは、モダニズム建築と呼ばれら建築の特性とは何であるか。

これらを、再検証するために、このノートを記す。建築にかかわるものにとって、良きにつけ悪しきにつけ影響を与え、教条的に呪縛を与え続けているモダニズム建築について問直す機会となれば幸いである。

このことを思い立ったのは、田中純氏による「残像のなかの建築 モダニズムの<終わり>に」に依るところが大きい。

-栄光と誹謗に包まれ、さまざま物語の主題をなしたモダニズム建築が実在したことはなかった。-

モダンアートの諸運動と比較して、純粋芸術ではない建築において、明確な定義づけが困難かもしれないが、ある見解を示したい。

 

貴志 雅樹

※「モダニズム・ノート」は貴志雅樹が生前自身のブログに綴ったものを再構成したものです。

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形式論ノート(16)

N・シュルツの「実存・空間・建築」のなかで以下のように定義している。

・実存的空間とは比較的安定したシェマの体系、つまり環境の「イメージ」であり、たくさんの現象の類似性から抽象されて取り出された一つの一般化であって「対象としての性質」を有するものである。

・建築的空間とは実存的空間の「具体化」である。

 

形式論的にいうと、実存的空間とは建築の形式であり、具体的に出来上がった空間が建築であると言い換えられる。

しかし、実存的空間を具体化することが建築とはいいがたい。

建築の多様性を封じ込めるおそれがあるし、実存空間の存在を認めると、価値観を固定化する恐れがある。

本質的で固有なものの存在を追及するより関係性の中から空間を生み出さなければならない。

 

貴志 雅樹

(完)

 

※「形式論ノート」は貴志雅樹が生前自身のブログに綴ったものです。

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形式論ノート(15)

日本の構成法として、「切れの構成」をを例にとると、長谷川櫂は和の思想の中で芭蕉の有名な俳句である

古池や蛙飛びこむ水の音

この句がどうして切れているかというと、芭蕉は蛙が飛び込むところを見ていない。

音をきいているだけである。

実際に古池に飛び込む蛙を見ていたら単なる写実である。

音を聞いて心の中にある古池をイメージしたという句で、現実社会と心の中の次元の異なる世界が同居していることになる。

「切れの構成」とは異次元のものを等価に扱う構成法である。

また、長谷川によると「和」とは異質なものを共存させる精神であり、それを可能にするのが「間」であり、「間」を創りだす方法が「切れる」ということであると述べている。

 

貴志 雅樹

※「形式論ノート」は貴志雅樹が生前自身のブログに綴ったものです。

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形式論ノート(14)

桜の季節だが、西洋では日本人ほど桜を愛でることがなかった。

花瓶に活けられた一輪のバラの方が好まれたようだ。

これはあくまでも主体がいて対象を見るという関係である。

それに対して、日本人は桜という対象に対して自己を投企する。

対象と主体が一体となる。

桜の中に包まれるという感覚が日本人の感性である。(「日本的感性」―触覚とずらしの構造―佐々木健一著、中公新書)

この視点に対する相違はパースと逆遠近法という西洋と日本の空間構成の違いかもしれない。

近代の視覚重視の空間構成に対して、嗅覚、触覚的な日本の空間構成について考察する必要がある。

 

貴志 雅樹

※「形式論ノート」は貴志雅樹が生前自身のブログに綴ったものです。

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形式論ノート(13)

断面形式として「入れ子」はよく用いられているが、形式的に純粋なものとしては毛綱毅曠の「反住器」で、3つの立方体の入れ子になっている。

立方体だけで住宅の内部空間を構成するというコンセプチュアルな作品である。

それに対して藤本壮介の「HOUSE N」も3層の入れ子になっているが、外部空間を含んだもので住宅として内部と外部の新しい関係を提案している。

反住器のマニエリスティックな形式に対して、HOUSE Nは入れ子を感じさせないものとなっている。

 

貴志 雅樹

※「形式論ノート」は貴志雅樹が生前自身のブログに綴ったものです。

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貴志雅樹を偲ぶ会 遺影・花器・生け花

連日、偲ぶ会の話題で申し訳ありません。

会場正面の献花台後方の遺影・コンクリートブロックを積んだ花器・生け花についてご紹介させてください。

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遺影・花器のデザインは事務所OBの協力によるものです。

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幅5メートル、高さ3.9メートルという大きな垂幕の遺影は、貴志雅樹の高校時代の同級生でインクジェットプリントによる広告制作を手がけておられる株式会社ビーアンドピーの和田山英一社長の御厚意により御提供いただきました。

和田山様、社員の皆様に心より御礼を申し上げます。有難うございました。

株式会社ビーアンドピー:B&P のウェブサイト

 

全身が写った貴志雅樹の写真は、2008年10月に富山県高岡市で行われました金屋町楽市の際の姿です。(当時59歳)

撮影者は富山大学芸術文化学部で現在学部長を務めておられます武山良三先生です。

武山先生、素敵な写真を有難うございました。

武山良三先生の紹介ページ

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また、写真の背景は故人の設計による「レストラン LATOUR」の壁の一部です。

レストラン LATOUR の紹介ページ

restaurant_LATOUR02

 

花器はコンクリートブロックを積み上げたもので、事務所OBの深江康之によるデザインです。

深江康之建築設計事務所のウェブサイト

 

生け花は貴志雅樹の次男で華道香山流の家元である貴志侑正(きし ゆうせい)によるものです。

各テーブルの中央に置かれた花も彼の手によります。

華道香山流のウェブサイト

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手前味噌ではございますが、建築家貴志雅樹らしい「しつらえ」になったのではと考えております。

改めまして、お越しいただきました皆様、有難うございました。

 

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御礼(貴志雅樹を偲ぶ会)

弊社の創設者貴志雅樹を偲ぶ会へお越しいただいた皆様、お手紙や電報をお送りいただいた皆様、誠に有難うございました。

また、会場にてお別れの言葉を頂戴しました安藤忠雄先生、出江寛先生、難波和彦先生、献杯の御挨拶をいただきました吉羽逸郎先生、誠に有難うございました。

故人は先生方にお話しいただいたことを大変光栄に、そして誇りに思っていることと存じます。

司会を務めてくださった竹原義二先生には会の全体の流れを考えていただき、遺影へ向けてあたたかい言葉をたくさんかけていただきました。有難うございました。

富山大学の横山天心先生には多くの関西の参加者がご存じでなかったであろう富山での実績や故人が残した言葉をご紹介いただきました。有難うございました。

また、最後になりましたが、この会の開催にあたり、御協力いただきました発起人の先生方、会場の設営や受付、送迎等をお手伝いいただいた皆様、皆様のお力がなくては会の成功はありませんでした。

心あたたまる素晴らしい会となりましたことに御礼申し上げます。

本当に有難うございました。

 

株式会社 貴志環境企画室

代表取締役 貴志 泰正

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