形式論ノート(4)

形式についての一つの視点として、横山天心先生との討論の一部を紹介しよう。

K:君たちはよく曖昧というけど、それは曖昧っていう誤魔化し方じゃなくて、形式と言いながらそれがフィットしないと言いたいのでしょう?曖昧を包含するっていうのは、ある形式を求めているけれど建築を創った時に、それが全部フィットするって事ではないのが形式だと言いたいのかな?

T:まぁそれはそうですね。形式っていうのは不自由なものなのですよ。その不自由がもたらす、うーん、自由があって、そこを僕は考えたい。

K:不自由だから自由があって、だから形式を追い求めたいというのはすごく分かる。ただ、曖昧のまま何かを受け入れるとか、なにかのためにとか、どうして形式がいるのか?

T:形式はアクティビティの拠り所ですよ、僕はそういう風に信じている。

 

貴志 雅樹

※「形式論ノート」は貴志雅樹が生前自身のブログに綴ったものです。故人を偲ぶ会を前に事務所のブログへも掲載させていただきます。

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木ぃホルダー

貴志です。

事務所から歩いてすぐの北田辺駅前に、木の雑貨を製作・販売されている木工房cobaさんがあります。

昨年夏ごろにオープンされたのですが、フラッと立ち寄って気に入って(木に入って?)購入したのが、このキーホルダー。

2015-04-28 10.33.00

その名も木ぃホルダー

キーケースにつけて愛用しています。

黄色い色は天然の色でして、ウルシの木ヴァージョンです。

しっかり乾燥しているからか、かぶれることもなく手になじんでくれます。

 

家族にも好評でしたので、母・妻・弟夫婦の分も購入しました。

2015-04-28 08.44.20

誰がどの木を選ぶのか、気になります(木になります?)。

 

貴志 泰正

 

木工房cobaさんのブログ

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形式論ノート(3)

引き続き形式についての言説を紹介しよう。

 

<エイドリアン・フォーティー>

英語には「形」(フォルム)のただ一語しかないが、ドイツ語には「形態」(ゲシュタルト)と「形式」(フォルム)の二語があるからだ。形態は一般には感覚で受け取られたものとしての対象を言うが、形式はふつう具体的な個物からある程度抽象化することを含意している。

「言葉と建築」より

 

<磯崎 新>

≪建築≫は結論的にいえば、表題どおりに形式なのである。だから「≪建築」という形式」とは、同義反復しているにすぎない。≪建築≫その概念が発生することによって、ひとつのジャンルを構成した。ジャンルは自らの掟、すなわち広義の制度をかかえこんでいる。-中略―すなわち、形式を≪建築≫と等置することによって、建築の生成する機制でありかつ方式でもある、伝統的にポエティックスと呼ばれる部分にそれを接続したいと考えている。「建築という形式Ⅰ」

 

<坂本 一成>

硬直化し、凝り固まった私たちの身体が、ただ自由で気ままな姿勢をとるのでなく、気功や太極拳、またさまざまな体操の形式化された型に沿うことで、柔軟さを快復し、自由を獲得するように、構成されたある種の空間や場に関わることで快適な自由を獲得する、そんな構成の形式によって私たちに関わる建物を<構成の形式としての建築>と位置づけることができそうだ。「建築に内在する言葉」

 

貴志 雅樹

※「形式論ノート」は貴志雅樹が生前自身のブログに綴ったものです。故人を偲ぶ会を前に事務所のブログへも掲載させていただきます。

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形式論ノート(2)

具体的に形式というものを挙げる。

<平面形式> ①ワンルーム形式 ②リニア形式 ③分棟形式 ④コートハウス形式 ⑤入れ子形式 <断面形式> ①スキップフロア形式 ②螺旋形式 ③浮遊形式 等がある。

平面形式が建築の枠組みを決定するものなら、断面形式は空間の関係性を創出する。

形式の種類はこれ以上考えられるし、一つの建築の中に形式が混在し、変形して存在する場合もある。

 

建築の形式(Architectural Form)について理解を深めるために以下の文章を引用する。Form(形)について書かれた部分である。

―建築は「形」の問題について自らの特権を主張している。それは建築というものがわれわれのまわりの物理的な対象と空間とを物理的に形作ることにあったからである。-

この主張によってわれわれは、西洋思想における建築の意義全体の土台となる「形」の核心へと直行できる。

「形」には両義性が内在する。一方では「形状」を意味し、他方で「考え」や「本質」を意味しているという両義性である。-

「言葉と建築」 エイドリアン・フォーティー著

 

貴志 雅樹

※「形式論ノート」は貴志雅樹が生前自身のブログに綴ったものです。故人を偲ぶ会を前に事務所のブログへも掲載させていただきます。

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形式論ノート(1)

建築における形式とは、建築を構成する基本形のようなものかもしれない。

形式とは、建築が成立している時代の歴史・文化・風土・技術をベースに生みだされてきたもので、人の生活を受け入れ、人と人、人と社会、人と自然等の関係性を構築してゆく型のようなものかもしれない。

型(Type)が建築の核心の観念で建築の本質に迫るものであり、様式(Style)が建築の美を担保するものであるなら、形式は建築の関係性を担保するものであるかもしれない。

ただ、形式には、建築の関係性を固定化するという矛盾も孕んでいる。そこで我々は、新たな形式を模索し続けるか、従来の形式をズラス事など試みながら、絶えず建築の関係性を新たに更新してゆく必要に迫られている。

 

貴志 雅樹

※「形式論ノート」は貴志雅樹が生前自身のブログに綴ったものです。故人を偲ぶ会を前に事務所のブログへも掲載させていただきます。

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OB・OG集合

貴志です。

5月9日(土)に「貴志雅樹を偲ぶ会」が大阪でも行われることになり、その準備のために多くの事務所OB・OGに御協力いただいています。

下の写真はOB・OGさんの到着を待つ事務所の風景です。

2015-04-17 18.59.47

椅子の数はギリギリ足りそうです。

狭いところですが、宜しくお願いいたします。

 

貴志 泰正

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引越しコラムの第4回が掲載されました。

本年より月に1回、引越し一括見積り・比較サイト「引越しAじぇんと」にて貴志泰正がコラムを執筆させていただいています。

第4回である今回は『お店の引越し「屋台」』と題しまして、引越しの語源の紹介からやや強引に自身が設計しました屋台「屋台骨」についてご紹介させていただきました。

ご覧いただけましたら幸いです。

屋台骨花見20150404-3

 

引越し一括見積り・比較サイト「引越しAじぇんと」のページ

引越しコラム第4回のページ

ライター貴志泰正の紹介ページ

屋台骨のウェブサイト

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ネーミング

貴志です。

建築家が世間に対して自身が設計した建築を発表する場合、便宜上それに名前をつける必要が出てきます。

名前のつけ方は建築家さんによって様々で、その人の建築に対する姿勢が見られる部分でもあります。

 

さて、私の場合、先日ご紹介した屋台に「屋台骨」と名づけるなど、つい言葉遊びやダジャレに走ってしまいがちです。(特にコンペの応募案の場合、その傾向が強くなる気がします。)

先代の貴志雅樹はあまりこういうことはしなかったはずなのにまずいかなあと考えていたところ、それに近い例が見つかりましたので、ご紹介します。

それが、1997年に竣工した「ONE BOX 家(カー)」シリーズです。

個人のシェルターであり、個人の部屋という領域を拡大していくことにより生まれた“ONE BOX CAR”のような家という意味でのネーミングです。

 

ONE BOX 家 Ⅰ

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ONE BOX 家 Ⅱ

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コンセプトや自身の姿勢を打ち出すという意味で、ネーミングや用いる言葉は大切なものだと感じています。

慎重に、丁寧に、ふさわしい言葉を見つけ出せるよう努めたいと考えています。

 

貴志 泰正

 

ONE BOX 家 Ⅰの紹介ページ

ONE BOX 家 Ⅱの紹介ページ

 

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続・讃岐うどん、いただきました!!

貴志です。

3月27日のブログでご紹介しましたお施主さんからいただいた讃岐うどんですが、違う食べ方も試してみました。

15.04.10

今回は釜玉です!!

こちらも大変美味しかったです。

学生時代に香川を訪れた際には半日でうどん屋さんを5軒まわって6玉ほど食べましたが、是非また讃岐うどんツアーに行きたいです。

ご馳走様でした!!

 

貴志 泰正

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「慣らし保育」

貴志です。

長男が今年度より保育園に入園しまして、今週から通園しています。

と言いましても、まだ「慣らし保育」期間です。

 

慣らし保育??

という方もおられるかと思いますので、簡単にご説明します。

保育園へ入園すると、まず短時間の保育から始めて、徐々に時間をのばして子供が段階的に環境に慣れるようにしていきます。

この期間を「慣らし保育」や「慣れ保育」と呼ぶそうです。

慣らし保育の期間は、年齢や保育園の考え方によって差はあるようですが、0~2歳では1週間程度が一般的なようです。(短くて3日、長くて2週間程度だそうです。)

15.04.08

長男は1歳児クラスに入ったのですが、最初の3日間は2時間、次の3日間は4時間(昼食あり)、さらに次の3日間は7時間(昼食、お昼寝あり)というように計9日間で段階的に時間を延ばしていくようです。

慣れない環境に大泣きする子供もいるようですが、ウチの子は逞しいのか鈍感なのか、初日に少し泣いただけでそれ以降は元気に遊んでくれているそうです。

送り迎えをしている妻は、あまりに早く慣れてしまったことに寂しさもあるそうですが、息子を頼もしく感じたとのこと。

子供が頑張っているのだから、親である我々も頑張らなければ!!

今週は息子のおかげでそんな気持ちにさせられました。

頑張ります!!

 

貴志 泰正

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