日本建築は構成的ではないと言われるが、日本の芸術に見られる和の構成法としていくつか挙げる。①切れの構成(俳句などにみられる)②曖昧にしながら統合する構成(洛中洛外図の雲)③過去の文脈を利用する構成(枕詞・序詞)④増殖してゆく構成(雁行、九の間論)⑤天地人の構成(活け花)⑥余白の構成(書道)⑦重層の構成(庭園における見え隠れ)⑧ミニマルな構成(枯山水)⑨布石による構成(回遊式庭園)各構成法について、具定例を示すと同時に、建築について用いられているかどうかも考察してゆきたい。
貴志 雅樹
※「形式論ノート」は貴志雅樹が生前自身のブログに綴ったものです。故人を偲ぶ会を前に事務所のブログへも掲載させていただきます。