断面形式として「入れ子」はよく用いられているが、形式的に純粋なものとしては毛綱毅曠の「反住器」で、3つの立方体の入れ子になっている。
立方体だけで住宅の内部空間を構成するというコンセプチュアルな作品である。
それに対して藤本壮介の「HOUSE N」も3層の入れ子になっているが、外部空間を含んだもので住宅として内部と外部の新しい関係を提案している。
反住器のマニエリスティックな形式に対して、HOUSE Nは入れ子を感じさせないものとなっている。
貴志 雅樹
※「形式論ノート」は貴志雅樹が生前自身のブログに綴ったものです。