貴志です。
変わった建物評論家(?)の根塚くんに対抗してのシリーズ第3弾です。
本日ご紹介いたしますのは、大阪はミナミにあります「味園ビル」です。
私にとっては心魅かれる大阪らしいエネルギーに溢れたレジャービルなのですが、「建築」として見たときにどのように評価されるものなのかは長らくわからずにおりました。
そんな私に勇気を与えてくれたのがこちら。
建築史家の倉方俊輔氏の著書「ドコノモン」に味園ビルが取り上げられています。
「ドコノモン」とは「ドコモモ」(DOCOMOMO=Documentation and Conservation of buildings, sites and neighborhoods of the Modern Movement、モダン・ムーブメントにかかわる建物と環境形成の記録調査および保存のための国際組織)にちなんだパロディで、ドコモモには選ばれないような一風変わった魅力のある建築を評価しようという、大変面白い試みです。
また、「月刊ビル」という雑誌でも味園ビルの特集号がありまして、こちらもついつい入手してしまいました。
これらの資料によりますと、建築年は1955年とのことですので、今年で築60年を迎えます。
設計はこのビルのオーナーでもあった志井銀次郎氏によるそうです
内部には500人収容の大広間を擁する宴会場「味園」、キャバレー「ユニバース」、地下にはダンスホールもあったそうです。
時代にあわせて何度か改装され、キャバレー「ユニバース」は場所を地下に移して営業を続けたものの2011年にその歴史に幕を閉じ、現在は貸しホールとして利用されています。
私自身は10年以上前に部活の先輩に連れられて「味園」デビューを果たした後、社会人になってから閉店前の「ユニバース」も一度だけ体験することが出来ました。
また、洞窟のような大浴場とサウナにも行ったことがありますが、残念ながら現在は閉鎖されているようです。
なんともいえない独特な混沌とした魅力をこの建築は持っているように思います。
ちなみに、私は2年半ほど前に友人を集めた結婚披露パーティーを催すに際し、貸しホールになっていた「ユニバース」を利用したいと考えたのですが、参加人数と賃料のバランスから断念し、宴会場「味園」で行いました。
畳の座敷での「流しそうめん」、大広間の舞台を利用しての「劇団“季四”大阪夏公演」(貴志にちなんでいます。)など、他のお店では許されないようなイベントを開催し、さすが「味園」という懐の深さを見せていただきました。
ちなみに、その後、味園から年に数回電話がかかってきまして、「また同じような宴会をやってください。」と
頼まれるのですが、結婚披露パーティーですから何度もやるのは問題です。
また、まわりの友人の結婚相手を見ていましても、私の家内のようにオシャレなカフェで二次会をやりたいと一言も言わなかったような女性は珍しいようです。
すみません、話が逸れました。
まだまだこのビルの魅力は語りつくせないのですが、最後に外観について。
大阪は南船場にあるオーガニックビルディング大阪(1993年竣工、ガエターノ・ペッシェ設計)の外壁が、「味園ビル」に似ているように感じてしまうのですが、真似をされたという可能性はあるのでしょうか?
どなたかご存じの方がおられましたら、是非ともお教えいただきたいです。
貴志 泰正
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