くらでくらす
conversion of WAREHOUSE
2019

 



  

所在地 京都府久世郡久御山町
用途 住宅
構造 木造
規模 地上2階
建築面積 75.53㎡ (コンバージョン部分:16.75㎡)
延べ面積 88.78㎡ (コンバージョン部分:30.00㎡)
 
 
実家の敷地内の離れで暮らす家族のための蔵の改修計画である。
子供たちの成長に伴い部屋が手狭になることが予想されたため、離れとそれに隣接する蔵をつなぎ、居住の用途にあてることが検討された。 
 
蔵で暮らすために課題となったのは、窓が小さく内部が暗いことであった。
厚い土壁に新たに開口部を設けることは構造上不安があったため、屋根形状を変化させて高窓を設ける方法に辿り着いた。
切妻屋根の片側をめくり上げ、新たな屋根と既存の土壁の間から光を取り込む計画とした。
その際、瓦屋根を金属屋根に葺き替えることで、既存の構造へかかる荷重を軽減している。 
 
また、改修前の床は最大で10cm程度傾いており、地盤調査を実施した結果、今後も地盤沈下が進む可能性があることが判明した。
安心して居住用途に用いるため、蔵の下部に薬液を注入する方法で地盤を補強した。 
 
通常の住空間ではない蔵らしさの現代的な解釈として、内部の壁はOSBボードの印字面をあえて見せて仕上げ、床にはラワン合板を用いた。
2階の床の一部は光を透過するFRP製のグレーチングとし、階段部分と合わせて1階に光を落とす役割を果たす。
 
各階は間仕切のないワンルームであるが、家族の成長に合わせてさまざまな使い方が想定でき、今後どのように暮らしていかれるかが楽しみである。
この地域では近隣にも同様に蔵のある家が多く残っている。
今回の計画を通して、蔵を現代的に有効利用するためのひとつの解決策を見つけられたのではないかと考えている。
 
 
 
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