所在地 奈良県御所市
用途 パーティーハウス
構造 木造
規模 地上1階
敷地面積 1619.98㎡
建築面積 137.44㎡
延べ面積 117.44㎡
大和棟が特徴的な江戸時代から残る古民家の保存・改修計画である。
明治期以降の数度にわたる増築の結果、既存部分と増築部分の継ぎ目で雨漏りが起こり、一部で梁が腐食し床が抜け落ちる事態が見られた。
また、敷地内のクスノキの大木の根が建物の一部を持ち上げ、道路に面する石垣を押し出そうとしていた。
古い町並みが残る地域であることから景観に極力変化を与えずに問題を解決することを考え、建築を江戸時代に建てられた当初の姿へ近づけることを目指した。
具体的には、大木付近の増築部分を減築して外部化することで建物の安全性を確保し、木を眺められる広い縁側と焼杉の大和塀を新設した。
また、腐食した柱・梁の一部を交換するとともに、屋根荷重を減らすために湿式工法で葺かれた屋根を既存の瓦を再利用して乾式工法で葺き直した。
玄関戸は以前にあったとされるくぐり戸付きの大戸を再現し、梁が下がって動かなくなっていた玄関横の格子も動かせるよう復旧した。
居住用ではなく来客が集う場所として利用されるため内部は間仕切らずに大空間とし、以前釜戸があった場所に新たにアイランドキッチンを設けるなど、場の記憶の継承を図った。
また、キッチンをはじめとした什器の一部に既存の建具や欄間を再利用することで改修前の面影を感じられるよう配慮した。
■畏敬の念 -建築から自然へー
樹齢700年とも800年とも伝えられる大木は、おそらく古民家が建てられる500年以上前からこの地で生きていた。
大木の根が広がって建築との共存が難しくなったとき、大木から控えて建つことがこの建築のあるべき姿のように思われた。
■畏敬の念 -設計者から過去の建築へー
築年数200年前後と思われる古民家の佇まいは、現代建築では容易に表現できない迫力を有していた。
江戸時代の姿は知るべくもないが、設計者は以前からあったような新しいものを設計することでこの建築の魅力を消さないことを心がけた。
■支える建築
先人への「畏敬の念」により、建築は自身を小さくすることで大木の生を支え、設計者は自身の表現の痕跡を極力消し去ることでこの建築の生を支えることを目指した。
publication
CASA BRUTUS No.233
関西の建築家と家をつくる
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website
casabrutus.com
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