所在地 大阪府泉大津市
用途 フラワーショップ+ティールーム
営業面積 149㎡
建築のプログラムや形態といった要素は、本来、追従すべきものなのか。建築も消費されていく現在において、そういった要素はますます不透明になっていく。
この計画は、土地柄のせいもあり、フラワーショップという店舗として位置付けられた。
当然、店内はグリーンが中心となるので、極力建物の形態を単純化し、デザイン要素の排除により建築の消去を試みた。その方法の一つとして、この地に多く見られる農業用温室を用いたこと、それによって風景になじませたことが挙げられる。単純なプログラム下でのデザイン放棄である。
内装材料としては、プラスター、中古の足場板、素地のスチールといった、時間の経過により変化していくであろう素材を選んだ。その素材を特に吟味するでもなく、ラフな造作により、ある種ヴァナキュラー(土地柄、地方性といった意)な、バラッキーなイメージを頭に置いた。先の農業用温室もまた、土地柄を示すモノとして存在している。
都市の時間軸から少し外れたところにあるこの建物が、ゆっくりと周りの風景に消えていくのではないだろうか。
publication
建築ジャーナル2002年7月号
新建築1994年11月号
日経ストアデザイン1994年12月号