ヤオヨロズノイエ
YAOYOROZU HOUSE
2014

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

所在地 兵庫県西宮市
用途 専用住宅
構造 木造
規模 地上3階
敷地面積 43.54
建築面積 24.46㎡
延べ面積 64.04㎡


敷地は兵庫県西宮市の市街地にあり、バブル期に造成、建築された建売住宅の一角の建て替え計画である。敷地面積は13坪という狭小地で、60代の夫婦と成人した子どもの3人のための住宅である。

施主の主な要望は以下の通りである。
・住んでいく中で必要な棚や家具を増設できるように、内装は構造用合板で仕上げる。
・壁面を有効利用し、物を掛け易いように内装に有孔ボードを使用する。
・物は、全て目に見えるように収納するために収納扉などの建具は必要ない。
・適度な距離感で家族の気配を感じられるようにして欲しい。

以上を考慮すると、いずれ空間が「モノ」で満たされ、「モノ」を収納するための「箱」と化し、「空間」と「モノ」が乖離することを危惧した。
狭小地における住宅では「モノ」、あるいはパイプやスイッチ、照明、報知器などの機能を持った小さな部位が空間の中を占める割合が高く、空間を作り出す重要なファクターとなるが、それらは一般的に収納の中に隠す、あるいは主張しないように扱われる。
そこで小さな部位を機能ごとに着色し、あえて主張させることで、様々な色を持った「モノ」を受け入れる「空間の下地」を作り出した。この狭小住宅では、床、壁、柱、天井、小さな部位だけでなく、後から入る「モノ」も含め、インテリアとして並列に扱い、空間を等価に構築するものとなる。それは神道における「八百万の神」の考え方のように、空間を作り出すファクターにおけるヒエラルキー概念の無化を意味している。空間を成立させ得るファクターは床、壁、柱、天井に限ったものではない。「万物が空間の表情を作り得る」という概念の提示である。