カテゴリー別アーカイブ: 変わった建物紹介シリーズ

「沸騰ワード10」建築業界特集 アート系幼稚園

 

貴志です。

建築業界の専門家として出演させていただいたバナナマンさんがメインを務める「業界×流行×ドキュメント」がテーマの業界リサーチバラエティー番組「沸騰ワード10が、私が住む関西でも放送されましたので、少しばかりその内容について書かせていただきます。

今回の放送で紹介された沸騰ワード”は次の4つ。

バンブー建築    

タニタ食堂のあるマンション

アート系幼稚園

味園ビル

この記事では、まだ触れられていなかったアート系幼稚園について書かせていただいて、このシリーズの区切りとさせていただきます。

 

さて、アート系幼稚園というネーミングですが、実は私自身にとっては聞きなれない言葉でした。

一般的に使われている言葉というよりは、今回の放送のために番組を制作されている方が考えられたネーミングかと思います。

芸術系の教育をする幼稚園かと誤解されそうな気もしますので、“デザイナーズ”といったフレーズに置きかえられるのかなとも思ったのですが、子供たちのアートな心を育む園舎という意味が込められているのかもしれません。

 

一方、VTRで紹介された園舎の設計を手がけられた幼児の城(株式会社日比野設計)さんについては、以前より存じ上げておりました。

弊社も幼稚園・保育園等の子供たちの施設の設計を現在進行形で手がけておりますので、設計事例集などもいくつか所有していまして、設計する際の参考にしています。

こどもたちの建築 building for children (弊社設計事例)

2015-11-12 20.04.33

「幼児の城」さんの設計事例は多くの本で見かけますし、近年特に数多く幼稚園舎・保育園舎を手がけておられる印象がありました。

今回、個人的に映像で園舎を観られて有難かったのは、作品集や事例集に掲載された写真ではわからない空間のつながりや広がりを感じることができたことです。

これまでの数多くの実績から蓄えられたノウハウが散りばめられており、大変勉強になりました。

有難うございました。

 

VTRのなかで調理室を子供たちが見られるようにすることで「食育」に力を入れておられた園舎がありましたが、弊社でも同様の事例がございますので、ご紹介させていただきます。

fujiminori01

東京都羽村市にある「富士みのり保育園」では、調理の様子を見られることや、4・5歳児用には専用のランチルームを設けるなど、成長に大切な「食」について興味を持ってもらうための試みに熱心に取り組んでおられます。

下の写真の右側の空間が調理室です。

fujiminori04

下の写真は、専用のランチルームです。

fujiminori05

また、この園舎では、「安全安心を徹底した見守り性が高い空間」として、2010年度のキッズデザイン賞を受賞しています。

fujiminori03

キッズデザイン賞のページ

富士みのり保育園の紹介ページ(弊社ホームページ)

 

幼稚園・保育園は、子供たちが初めて家の外で長い時間を過ごす場所です。

未来のある子供たちのために、安心で楽しく、ときに刺激的に過ごすことができる園舎を設計できるよう、取り組んでまいりたいと思います。

 

最後に、今回の放送で取り上げられた4つのテーマ(沸騰ワード)は、それぞれ興味深いものでした。

あまり専門家的なことはお話しできていませんでしたが、事前準備として関連する項目について調べたり、知識を整理するなど、大変貴重な機会になりました。

関係者の皆様、ご覧いただいた皆様に改めて御礼を申し上げます。

有難うございました。

 

貴志 泰正

Pocket

「沸騰ワード10」建築業界特集 タニタ食堂のあるマンション

 

貴志です。

建築業界の専門家として出演させていただいたバナナマンさんがメインを務める「業界×流行×ドキュメント」がテーマの業界リサーチバラエティー番組「沸騰ワード10」が、私が住む関西でも放送されましたので、少しばかりその内容について書かせていただきます。

今回の放送で紹介された“沸騰ワード”は次の4つ。

■バンブー建築

■タニタ食堂のあるマンション

■アート系幼稚園

■味園ビル

この記事では、昨日触れられなかったタニタ食堂のあるマンションについて書かせていただきます。

 

まず、タニタ食堂のあるマンションですが、大阪の千里(大阪府吹田市千里丘北)にあるとのことで、解説をするなら実際に見ておかなければと、休日のランチタイムに行ってきました。

運動や娯楽、宿泊、アウトドアなどを楽しめる多数の共用施設を有するひとつの街のような集合住宅群ザ・ミリカシティのなかに、このタニタ食堂は今年7月にオープンしたそうです。

案内板が出ていました。

2015-10-04 11.56.54

2015-10-04 11.57.59

敷地内を少し歩くと、ありました!タニタ食堂!!

2015-10-04 12.01.03

入口に日替わり・週替わりメニューの案内が出ていました。

2015-10-04 12.01.44

建物内に入り、食券を購入します。

会員価格(お住まいの方?)より50円アップだったかと思いますが、このマンションの住人でなくても立ち寄れるのは嬉しいですね。

2015-10-04 12.36.33

この日の日替わりメニューは、「鶏肉のなめこおろし煮定食」です!

2015-10-04 12.12.14

食堂内の様子を少しばかりご紹介。

2015-10-04 12.33.32

2015-10-04 12.33.37

2015-10-04 12.35.42

番組を収録するスタジオ内でも、実際に体験してきたことをお話ししたところ、「住んでいなくてもいけるんだ~!」と興味深く、聞いてくださいました。

お友達や親戚が遊びに来たときなんかに利用できるのはいいですね。

(※なぜそのあたりのやりとりがカットされていたかは、時間の都合もあるでしょうが、私が食い意地が張っているからだと思われます。ご興味がおありの方は直接お問い合わせくださいませ。)

 

そして、関連する事例としてスタジオでのやりとりのなかでご紹介させていただいた食堂付きアパート」(設計:仲建築設計スタジオですが、これについては事前の打合せの中で私の方からご提案した内容でしたので、採用していただけて大変嬉しかったです。

グッドデザイン賞の「食堂付きアパートの紹介ページ

雑誌でこの建築を知ったときに、ソフト面について今日的な見事な回答を出されていることに感銘を受けました。

私の力不足で、放送ではこの建築の魅力や価値を伝え切れていませんので、上記のリンクから詳細をお読みいただけましたら幸いです。

一方的に存じ上げていただけで、設計者の仲俊治氏とは面識はなかったのですが、今回畏れ多くもコメントさせていただいたことをお伝えしたところ、ご理解いただき、快く承諾してくださったことは大変有難いことでした。

心より感謝申し上げます。

 

少し長くなってしまいましたので、アート系幼稚園のお話は、また明日にでも。

 

貴志 泰正

Pocket

「沸騰ワード10」建築業界特集 バンブー建築×味園ビル!?

 

貴志です。

建築業界の専門家として出演させていただいたバナナマンさんがメインを務める「業界×流行×ドキュメント」がテーマの業界リサーチバラエティー番組「沸騰ワード10」が、私が住む関西でも放送されましたので、少しばかりその内容について書かせていただきます。

今回の放送で紹介された“沸騰ワード”は次の4つ。

■バンブー建築

■タニタ食堂のあるマンション

■アート系幼稚園

■味園ビル

残りの2つについては改めて触れさせていただくとしまして、この記事では、バンブー建築と味園ビルについて記します。

 

番組冒頭のVTRで紹介されていたバンブー建築は、「IBUKU(イブク)」という設計者と施工者の集団によってつくられたバリ島にある「Green School(グリーンスクール)」という学校です。

竹を構造体として建てられた3階建の建築は圧巻でしたね!!

残念ながら、日本の現行の法令では同様の建築を実現することは難しく、東日本大震災の際に宮城県気仙沼市に現地の竹を利用してつくられた集会所「竹の会所」は、期間限定の仮設建築物として申請が認められたそうです。

 

また、4つ目の沸騰ワードとして紹介された味園ビルは、番組でもお話ししたように、初代オーナーの志井銀次郎氏の設計で社内につくられた工作部が施工した建築だそうで、なかなか今の時代では同じようなプロセスでの建築は難しいのかもしれません。

この建築が持つ独特の混沌としたエネルギー溢れる不思議な魅力はそんなところから来ているような気がしています。

大阪らしい建築として、今後も愛され、守られていくことを願っています。

 

さて、上記の通り、現代の日本では実現が難しい2つの建築が番組内で奇跡の共演を果たしたわけですが、番組に先立つこと3年、なんと私の目の前でバンブー建築と味園ビルは初めてのコラボレーションを実現させていたのでした!!

それがこちら。

P1010696

日本的な最小規模のバンブー建築こと夏の風物詩、流しそうめん@大宴会場味園です。

(協力 : WNA 世界ながしそうめん協会

番組でもご紹介いただいた結婚披露パーティーにおいて、味園ビル大宴会場にて出席者に流しそうめんを振舞うパフォーマンスをさせていただきました。

P1010711

P1010704

P1010716

P1010728

P1010729

ちょうど参加者全員が素麺を食べたころ、恐れていたことが起こりました。

ジャバーン!!

P1010730

集合写真で手前に新聞紙があるのはそのためです。(味園さん、ごめんなさい。)

P1010832

番組もこの記事も、専門的な解説ではなく自分の話で終わらせてしまい、失礼いたしました。

 

貴志 泰正

Pocket

味園ビル ~変わった建物紹介シリーズ3~

貴志です。

変わった建物評論家(?)の根塚くんに対抗してのシリーズ第3弾です。

本日ご紹介いたしますのは、大阪はミナミにあります「味園ビル」です。

2015-09-26 13.48.40

私にとっては心魅かれる大阪らしいエネルギーに溢れたレジャービルなのですが、「建築」として見たときにどのように評価されるものなのかは長らくわからずにおりました。

そんな私に勇気を与えてくれたのがこちら。

2015-10-03 13.33.46

建築史家の倉方俊輔氏の著書「ドコノモン」に味園ビルが取り上げられています。

「ドコノモン」とは「ドコモモ」(DOCOMOMO=Documentation and Conservation of buildings, sites and neighborhoods of the Modern Movement、モダン・ムーブメントにかかわる建物と環境形成の記録調査および保存のための国際組織)にちなんだパロディで、ドコモモには選ばれないような一風変わった魅力のある建築を評価しようという、大変面白い試みです。

2015-10-03 13.34.13

 

また、「月刊ビル」という雑誌でも味園ビルの特集号がありまして、こちらもついつい入手してしまいました。

15.01.22-04

15.01.22-01
これらの資料によりますと、建築年は1955年とのことですので、今年で築60年を迎えます。

設計はこのビルのオーナーでもあった志井銀次郎氏によるそうです

内部には500人収容の大広間を擁する宴会場「味園」、キャバレー「ユニバース」、地下にはダンスホールもあったそうです。

時代にあわせて何度か改装され、キャバレー「ユニバース」は場所を地下に移して営業を続けたものの2011年にその歴史に幕を閉じ、現在は貸しホールとして利用されています。

15.01.22-02

私自身は10年以上前に部活の先輩に連れられて「味園」デビューを果たした後、社会人になってから閉店前の「ユニバース」も一度だけ体験することが出来ました。

また、洞窟のような大浴場とサウナにも行ったことがありますが、残念ながら現在は閉鎖されているようです。

なんともいえない独特な混沌とした魅力をこの建築は持っているように思います。

 

ちなみに、私は2年半ほど前に友人を集めた結婚披露パーティーを催すに際し、貸しホールになっていた「ユニバース」を利用したいと考えたのですが、参加人数と賃料のバランスから断念し、宴会場「味園」で行いました。

畳の座敷での「流しそうめん」、大広間の舞台を利用しての「劇団“季四”大阪夏公演」(貴志にちなんでいます。)など、他のお店では許されないようなイベントを開催し、さすが「味園」という懐の深さを見せていただきました。

P1010696

292926_331000623656621_1219695844_n

P1010820

217728_429566520415386_1670026962_n

ちなみに、その後、味園から年に数回電話がかかってきまして、「また同じような宴会をやってください。」と

頼まれるのですが、結婚披露パーティーですから何度もやるのは問題です。

また、まわりの友人の結婚相手を見ていましても、私の家内のようにオシャレなカフェで二次会をやりたいと一言も言わなかったような女性は珍しいようです。

 

すみません、話が逸れました。

まだまだこのビルの魅力は語りつくせないのですが、最後に外観について。

大阪は南船場にあるオーガニックビルディング大阪(1993年竣工、ガエターノ・ペッシェ設計)の外壁が、「味園ビル」に似ているように感じてしまうのですが、真似をされたという可能性はあるのでしょうか?

どなたかご存じの方がおられましたら、是非ともお教えいただきたいです。

 

貴志 泰正

2015-10-04 15.05.09

2015-10-04 15.01.47

2015-09-26 13.49.37

Pocket