形式論ノート(14)

桜の季節だが、西洋では日本人ほど桜を愛でることがなかった。

花瓶に活けられた一輪のバラの方が好まれたようだ。

これはあくまでも主体がいて対象を見るという関係である。

それに対して、日本人は桜という対象に対して自己を投企する。

対象と主体が一体となる。

桜の中に包まれるという感覚が日本人の感性である。(「日本的感性」―触覚とずらしの構造―佐々木健一著、中公新書)

この視点に対する相違はパースと逆遠近法という西洋と日本の空間構成の違いかもしれない。

近代の視覚重視の空間構成に対して、嗅覚、触覚的な日本の空間構成について考察する必要がある。

 

貴志 雅樹

※「形式論ノート」は貴志雅樹が生前自身のブログに綴ったものです。

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